後悔

時に、人はやるべきことを放棄したくなることがある

あなたは、日々生活していくなかで、嫌になってしまったり、少し意地悪な気持ちになったり、やり返しのつもりで、本当はやらなくてはいけないことをやらなかったという経験はありませんか?

わたしたちは、感情に操られ、本当の気持ちとは裏腹な行動を選択してしまうことがあります。

その時は、もしかしたら清清するかもしれませんが、いずれ、そのことが自分自身を苦しめることになるかもしれません。

ですから、感情に操られるのではなく、自分の意思に基づいた、つまり、自分の価値観に一致した行動を選択することが大切になります。

それでも、やるべきことをやる

以前、ラジオの人生相談でこんな相談がありました。

「親の介護をしています。

親の認知症がすすみ、私のこともわからなくなってしまいました。

最近、私がお金を盗んでいるとか、泥棒だとか言ってくるんです。

一生懸命、介護をしているのに…….。

他にもいろいろ言われて、もう何もしたくなくなってしまうのです」

相談員の方はこう答えました。

「大変かもしれませんが、やるべきことをきちっとやってください。

そうしないと、いつか後悔する日が来ます。

今、怒りなどの感情に任せ、やるべきことをやらなかったとします。

感情は、時間とともに薄れていきますが、行動は事実として残ります。

いつか親も亡くなりますね。

その頃には、今の気持ちは薄れてしまって、思い出すのは、“やらなかった” という事実だけです。

そして、「なんでやってあげなかったのだろう」とか、「やってあげればよかった」と自分を責めたり、後悔することになります。

ですから、今はやるべきことをきちんとやってください」

注意してほしい二つのこと

① 無理をしない

人生相談の話を聞いて、なるほどなと思いましたが、一方で、できない時もあるよなという思いもありました。

みなさんのなかには、もうすでに頑張り過ぎている人もいるのではないでしょうか。

限界に達する前に、助けを求めることも大事なことです。

それに、助けを求めることは恥ずかしいことではありません

何より、無理をして、あなた自身が倒れてしまっては、元も子もありません。

あなたが元気でいることも “やるべきこと” になります。

なぜなら、あなたが元気でいることを願っている人が必ずいるからです。

お住まいのある自治体には、介護や子育てに悩んだ時に相談する窓口があります。

また、自治体の相談窓口に相談することに抵抗を感じる場合には、かかりつけの病院で相談してみるのも一つの方法です。

適切なアドバイスや、場合によっては専門機関の紹介をしてもらえると思います。

一人で悩まず、早めに相談してみましょう。

② 安全確保が第一

さらに、もしあなたが、DVや虐待、ハラスメントといった“暴力”を受けている場合は、何よりもまず、現実的・物理的な対処が最優先になります。

つまり、この場合、あなたの安全確保が “やるべきこと” です。

あなたが安全であることが第一だからです。

DVや虐待などについても、お住まいのある自治体などに相談窓口がありますので、勇気を出して助けを求めてください。

また、身の危険がある場合には、躊躇せず110番に連絡しましょう。

何度も言いますが、助けを求めることは決して恥ずかしいことではありません

そして、あなたの幸せを心から願っている人がいることを忘れないでください。

『最後だとわかっていたなら』

一つの詩を紹介したいと思います。

以下は、その一部抜粋です。

たしかにいつも明日はやってくる

でももしそれがわたしの勘違いで

今日で全てが終わるのだとしたら、

わたしは 今日

どんなにあなたを愛しているか 伝えたい

『最後だと分かっていたなら』ノーマ コーネット マレック•作 佐川 睦•訳

2001年9月、ニューヨークで“9.11”、同時多発テロが起きました。

この詩は、その時に世界中に広まりましたが、もとは、1989年にノーマ・コーネット・マレックというアメリカ人女性が、亡くなった我が子をしのんで書いた詩を発表したものです。

日本でも、2007年にサンクチュアリ出版より書籍化されていますので、ぜひ、全文を読んでいただきたいと思います。

この詩を読むと、日常のなかに見失いかけていた、大切なものを思い出させてくれます。

愛する人を失った時、どんなに心を尽くしても自分の足りなさをなげかずにはいられない。

『最後だと分かっていたなら』ノーマ コーネット マレック•作 佐川 睦•訳 〜「おわりに 」より〜

完全に後悔のない人生なんていうものは、無いのかもしれません。

人は、間違えます。

人は、不完全です。

良くも悪くも、それが人らしさなのではないでしょうか。

人は、今が “過去になった時” に、やっと本当の意味で今を知ることがあります。

それに、「失ってはじめて気がつく」という言葉があるように、人はなかなか今の幸せに気がつかないものです。

この『最後だと分かっていたなら』という詩には、そんな今の幸せに気づくきっかけをくれる “ことば” が収められています。

選択する

人生は、今の連続です。

未来は、今の選択の積み重ねの結果ということもできます。

でも、結局わたしたちは、今を生きることしかできません。

先ほども言いましたが、人は間違えたり、失敗するものですし、それは、仕方のないことです。

ですから、間違えや失敗に気がついたら、その気がついた今、それを修正すればいいのです。

あなたは今、どんな選択をしようとしているのでしょうか。

それは、自分の意思に基づいた、つまり、自分の価値観と一致したものでしょうか。

本当に大事なものを大事にできるようになりたいなと思います。

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